攻撃時のベンチワーク

前項では守備時におけるベンチワークについて記してきました。
ここでは攻撃時におけるベンチワークについて説明していきたいと思います。

攻撃中に関してはベンチ内にもたくさんの選手がいる事になりますので、
おしゃべりも盛んとなり、サブメンバーも仕事が疎かになったりする場合もありますので要注意です。
あくまで試合中という自覚を持って、だらけないように気を引き締めておく事が大切です。

攻撃時のベンチの仕事

さて、攻撃時の仕事としてはどんな仕事があるのでしょうか?
大きく分けるとまずはベースコーチとして三塁、一塁に二人は必要となり、
その他のメンバーでバットを引いたり、ヘルメットなどの道具を並べたりなどといった仕事になります。

バット引き係りもうっかり忘れたりすると審判から怒られます。
理由はバットが転がってたりするとそれが障害物となり、
キャッチャーフライなどを追いかけた際に踏んでケガの原因にもなったりするからです。

バットはすぐにベンチ内に片付けるクセをつけておきましょう。

最も重要な役割『ベースコーチ』

そして、攻撃中に最も重要な役割を果たすのがベースコーチです。
ベースコーチと言ったら補欠の子が与えられるどうしよもない役割、
と少年野球では思われがちですが実はそうではありません。

野球のルールや状況に応じた判断が出来る子でなければベースコーチは出来ないものなのです。
もっとも『ただ立ってるだけ』のコーチャーが多いのが実情ではありますが・・・。

まず、ベースコーチの役割としては簡単に言うと『打者や走者に状況を伝える』という事になります。
特に走者に対して、帰塁、進塁を促すアドバイザー役という立場としての仕事が多くなります。

走者は得点を取る為に一つでも先の塁を狙いますが、
守備側は一つでも先の塁に進めない様にあらゆる手段で走者をけん制します。

走者は自分の経験と感覚で行動を起こしますが、
自分の感覚では判断しきれないケースも試合中には多々あります。

そういった場合にベースコーチの判断を元一つ先の塁を狙うのです。

走るか止まるかの選択肢

例えば、打者が一塁線を抜くヒットを打ったとします。
一塁へ走りながら打球の行方は自分自身で見る事が出来ますので、
二塁に進めるか進めないかの判断はある程度自分自身で行う事が出来ます。

二塁へ向かった打者はライトがボールを追っている姿が見えませんので、
二塁に滑り込まなければならないほどボールが迫っているのか、
もしくは二塁を回って三塁を狙う事が出来るのかの判断は自分自身では出来ません。

こういった場合に、ベースコーチの判断を元に二塁で止まるのか、
二塁を回って三塁を狙うのかを選択する事になります。

打者は二塁ベースに向かいながら、三塁のベースコーチの動きを確認します。
三塁のベースコーチはすでにライトがボールに追いつき、
打者が二塁に止まらなければならない状況であれば、大きく両手を上げて『ストップストップ』と伝えます。

逆に、まだライトが追い付かずに打者が三塁を狙える状況であれば、
腕をグルグルと回して『三塁に向かって走れ』と伝えます。

そして、もし三塁に向かった打者と、三塁に返球が返ってきて際どいプレーになりそうな場合は、
ベースコーチはスライディングしろ!という指示を腕を大きく使って行います。

このように、打者・走者に対しての指示を、
状況を判断しながら行うのがベースコーチの役目です。

もし、上記のケースがツーアウトからのプレーだった場合、
ベースコーチの的確な判断で打者が三塁まで来ていた場合、
仮に次の打者の時にワイルドピッチでもあれば一点が取れますが、
もし打者が二塁で止まってしまった場合にはワイルドピッチで三塁までは来れたとしても、得点を挙げる事は出来ません。

逆にワンアウトからだった場合、ベースコーチが的確な指示を怠り、
打者が無謀な走塁で三塁を狙いアウトになってしまった場合、
せっかくのチャンスを台無しにしてしまう結果となってしまいます。

ベースコーチの判断ひとつで試合が左右される事だってある場合もあります。

一塁と三塁のベースコーチ

よって、ベースコーチは一塁と三塁とありますが、
出来れば三塁のベースコーチはある程度野球を知っている子、
声の大きい子を起用したほうが良いでしょう。

どちらかというと、一塁のベースコーチは三塁に比べれば重要性はありません。
リーリーリーリーと言っていれば、とりあえずは良いでしょう!

さて、難しい話に偏ってしまったかもしれませんが、
ここで両ベースコーチの共通の仕事として追記しておきます。

①ファールだということを伝える

まず、ファールだった場合、打者・走者に伝えてあげること。
例えば三塁線にゴロを打った場合、審判の判定が出るまでは打者は一塁に全力で走ります。

しかし、途中で審判が『ファール』のジャッジをした場合でも、走者にはそれが伝わらずに走り続けてしまいます。
そういった時にはベースコーチが打者にファールである事を伝えてあげる必要があります。

②誰がボールを持っているのかということを伝える

次に、走者に対して、守備側の誰がボールを持っているのかというのを伝える事です。
例えば牽制球があった場合、野手は投手にすぐに返球しないケースもあります。

そういった時に走者が塁を離れてアウトになってしまわないように、
ベースコーチは野手がボールを持っている事を走者に伝えます。

そうする事で走者はボールを野手が持っている事を認識し、ベースから離れません。
しっかりと野手が投手に返球したのを確認してから、リードを取る事が出来ます。

以上、ベースコーチの役割を説明してきましたが如何だったでしょうか?
たかがベースコーチ、されどベースコーチ。

ベースコーチに任命されたからと言って腐らずに、
逆に粋に感じてやってみる気になって来たのではないでしょうか。