バッティング理論

バッティングは簡単そうで実は非常に難しい部分が多いものです。

今では『ビヨンド』と言われる、反発力の強いバットもありますので、
非力な子でもある程度ボールを飛ばす事が出来ると言われていますが、

そうしたバットに慣れてしまう事で、
本来のバッティングにおける体の使い方などを覚えないまま、
中学~高校と進学する事で、ボールをしっかりと打ち返す事が出来なくなってしまいます。
特に成長すればするほど、速いボールを投げるピッチャーが増えてきます。

将来を見越したうえで、しっかりとバットを振る事ができる選手にする為に、
バッティング練習の際にはフォームのチェックを怠らないようにしておきましょう。

バッティングの基本は下半身

まず、バッティングの基本は下半身です。
とりわけ中心となるのが、右バッターであれば右足の親指、左バッターであれば左足の親指。
この親指を中心に体の回転が加わり、スイングを行います。

上半身のバットを振る力を支えるのが、軸足の親指という認識で良いでしょう。
ステップする足はあくまでタイミングを取る為のものであり、支えに過ぎません。

そして、ステップから、軸足の回転と同時に腰の回転が加わり、
腰の回転に上半身の回転が加わり、バットが振り下ろされてきます。

バットが振り下ろされてきて、ボールに当たった場所を『インパクト』と言いますが、
ここまでの動きの中心は下半身になります。

より最短距離でボールに対してバットを振り下ろせるかが大切になりますが、
この上半身の回転を支えるのが下半身の軸足となります。

ボールを打つタイミング

バッティングではよく①、②、③で打てと言われる事がありますが、
私的には少年野球では①、②で充分かと思っています。

通常、

  1. 構えから多少バットを引く
  2. インパクトまで振り下ろす
  3. ボールを押し出し回転する

・・・と、いうイメージですが、
①構えたところから振り下ろす→②ボールを押し出すで
少年野球では良いのではないかと思っています。

どうしても慣れるまでは、
バットを引く動作を行うことによって、タイミングが遅れ、
振り遅れによる空振りが増えてしまいます。

構えた位置から

  1. バットを振り下ろす
  2. 振り抜く

・・・と、いう形を実践する事で、バットに当たる確率も上がってきます。
慣れるまでは、①、②のタイミングで練習するのが良いでしょう。

さて、バットをボールに当てることができたらバッティングは終わりでしょうか?
いえいえ。むしろバッティングで大切なのはここからです。

ボールを押し出す作業

ボールの位置までバットを振り下ろした後の、
『ボールを押し出す作業』が強い打球を打つ事、
遠くに飛ばす事に対してとても重要になってきます。

言い換えれば、少年野球によく見られがちな、
芯で捉えているのに内野の頭を越えない子、越える子の違いは、
このインパクトまで振り下ろしたあとにどれだけボールを押し出せているのかという事なのです。

内野の頭を越えない子は、インパクトまで振り下ろしたと同時にボールの力に負けてしまって、
バットがしっかり振りぬけていない子、逆に言えば越える子はボールの力に負けず、
ボールを押し返す事が出来て、バットを振りぬけている子になります。

このバットを振り抜く技術や力は、主に上半身を使う事になります。
腕力に加えて、手首の力も重要となってきます。

スイングしている時には気づきにくい事ですが、バッティングにおける手首の重要性は非常に高く、
インパクトから振り抜くまでに手首を無意識に返して、バットをスムーズに振り抜くようになっています。

この手首の返しが出来ない子は、強いスイングが出来ない場合が多く、
ボールに当たったとしても強い打球は打てません。
せっかく力強くバットを振り下ろしてきても、
押し出しが出来なければ永遠に外野にも飛ばせないでしょう。

問題点を見つけ、解決へと導こう

このようにバッティングといっても、
どんな打球が飛んでいるのかによって子どもたちのスイングをしっかりと分析し、
どこに問題があるのかを見つけてあげる事が大切です。

その問題を見つけ出す事が出来れば、
あとは前項で挙げたバッティングの練習によって、その問題を解決してあげれば良い事です。

たとえば、インパクトまでのバットの出し方などは
トスバッティングで練習をし、当たった後の押し出す練習には、
ティーバッティングの繰り返しで教えるなど、工夫する事が出来るでしょう。

他にも構え方や、スイングにもアッパーやダウンなど色々とありますが、
少年野球では基本とされるもので良いと思います。

どちらかというと、構えやスイングよりも、
『しっかりと軸足の親指で回転が出来ているか?』
『ボールに当たった後、押し出す事が出来ているか?』をしっかりと見てあげましょう。